中古マンション購入で「管理組合の借入れ」があると危険?契約前に確認したいポイント
- そもそもマンションの管理組合はなぜ借入れをする?
- 結論|管理組合の借入れ=危険ではない
- 管理組合の借入れがあったら確認したい7つのポイント
※本記事は一般的な判断材料の整理を目的としたものであり、特定の物件の価値・安全性・将来性を断定するものではありません。最終的な判断は不動産会社・管理会社・各種資料の確認に基づいて行ってください。
中古マンション購入で「管理組合の借入れ」があると危険?契約前に確認したいポイント
「購入を検討している中古マンションの管理組合に借入れがあると分かった。」
「マンション全体で借金があるということは、修繕積立金が足りない?」
「管理組合の借入れがあるマンションは買わない方がいい?」
中古マンションを購入するとき、長期修繕計画や総会議事録、管理組合の決算資料などを確認すると、管理組合に借入れがあることが分かる場合があります。
「マンションなのに借金?」と不安になるかもしれません。
しかし、管理組合に借入れがあるからといって、それだけで危険なマンションとは判断できません。
重要なのは「借入れがあるか」ではなく、「なぜ借りたのか、その借入れを無理なく返済できる計画になっているか」です。
この記事では、中古マンション購入で管理組合の借入れがある場合に、契約前に確認したいポイントを詳しく解説します。
そもそもマンションの管理組合はなぜ借入れをする?
マンションでは、外壁、防水、給排水設備、エレベーターなど、共用部分の修繕を管理組合が行います。
その費用は、主に区分所有者から毎月集める修繕積立金によって準備します。
しかし、実際の工事費が積立額を上回る場合があります。
例えば、
- 大規模修繕工事
- 給排水設備の更新
- エレベーター更新
- 機械式駐車場の修繕
- 漏水など想定外の工事
などです。
修繕積立金だけでは工事費を賄えない場合、管理組合が金融機関等から借入れを行うことがあります。
結論|管理組合の借入れ=危険ではない
管理組合に借入れがあることだけで、購入を見送る必要はありません。
例えば、必要な大規模修繕を延期するより、一定の借入れを利用して適切な時期に工事を行う方が、建物維持の観点では合理的な場合があります。
一方で、
- 過去から修繕積立金が慢性的に不足している
- 借入れ後も資金不足が解消していない
- 返済のために修繕積立金を大幅に値上げする
- 次の大規模修繕でも再度借入れが必要
という場合は慎重に確認する必要があります。
国土交通省も、必要な修繕を計画的に実施するためには、長期修繕計画と安定した修繕積立金の確保が重要としています。:contentReference[oaicite:1]{index=1}
管理組合の借入れがあったら確認したい7つのポイント
- 何のために借りたのか
- 借入残高はいくらか
- いつまで返済するのか
- 返済原資は何か
- 修繕積立金をさらに値上げする予定がないか
- 追加借入れや一時金の可能性がないか
- 長期修繕計画全体で資金が回るのか
ポイント① 何のために借りたのか
最初に確認したいのが借入れの目的です。
同じ借入れでも、理由によって意味は大きく異なります。
例えば、
- 予定していた大規模修繕工事のため
- 給排水管など高額設備の更新のため
- 災害・漏水など突発的な修繕のため
- 過去の積立不足を補うため
などがあります。
必要な工事を適切な時期に実施するための一時的な借入れで、返済計画も明確なら、それだけで管理不良とは言えません。
反対に、毎回のように修繕資金が不足し、そのたびに借入れを繰り返しているなら、積立計画そのものに無理がないか確認しましょう。
ポイント② 借入残高はいくらか
「借入れあり」という情報だけでは十分ではありません。
現在いくら残っているのか確認しましょう。
例えば、当初5000万円を借りていても現在の残高が500万円なら、返済はかなり進んでいる可能性があります。
一方、借入直後で残高が大きく、その後の工事も多数予定されているなら、今後の資金計画を詳しく確認する必要があります。
借入額は、総戸数との関係でも見てみましょう。
例えば同じ3000万円の借入れでも、30戸のマンションと300戸のマンションでは、一戸あたりの負担感が異なります。
ポイント③ いつまで返済するのか
借入残高と合わせて確認したいのが返済期間です。
例えば、
- あと2年で完済予定
- あと10年間返済が続く
では、購入後への影響が異なります。
特に注意したいのは、現在の借入返済期間と、次の大規模修繕時期が重なっているケースです。
現在の借入れを返済しながら、次の工事資金も積み立てなければなりません。
そこで資金が不足すれば、再度の値上げや追加借入れにつながる可能性があります。
ポイント④ 返済原資は何か
管理組合の借入れは、最終的にはマンション所有者が負担するお金から返済します。
そのため、返済原資が何になっているかを確認しましょう。
例えば、
- 現在の修繕積立金から返済
- 修繕積立金を増額して返済
- 駐車場収入などを含めて返済
といったケースがあります。
重要なのは、借入返済をしながら将来の修繕費も同時に積み立てられることです。
借入れを返せるだけでは不十分です。「返済しながら次の修繕資金も貯められるか」を確認しましょう。
ポイント⑤ 修繕積立金をさらに値上げする予定がないか
管理組合に借入れがある場合、返済や将来の修繕費確保のために、修繕積立金を引き上げることがあります。
例えば現在、修繕積立金が月3万円でも、
- 2年後:4万円
- 5年後:5万円
- その後:再検討
という計画になっている場合があります。
国土交通省は、段階増額積立方式について、予定どおりの引上げができないと修繕積立金不足につながるおそれがあるとして、安定的な積立を重視しています。:contentReference[oaicite:2]{index=2}
購入時の月額だけではなく、借入返済期間中・返済後の修繕積立金額まで確認しましょう。
ポイント⑥ 追加借入れ・一時金の可能性がないか
現在借入れがあるマンションで特に確認したいのが、「これで資金問題が解決しているか」です。
例えば総会議事録や長期修繕計画に、
- 追加借入れを検討
- 一時金徴収を検討
- さらなる修繕積立金値上げを検討
- 工事内容を再検討
と書かれていれば、現在の借入れだけでは足りない可能性があります。
購入後に一時金が必要になれば、毎月の修繕積立金とは別にまとまった負担が生じます。
ポイント⑦ 長期修繕計画全体で資金が回るのか
最も重要なのが、借入れを含めた長期修繕計画全体を見ることです。
確認したいのは、
- 現在の修繕積立金残高
- 今後の積立収入
- 借入返済額
- 今後の修繕工事費
- 大規模修繕後の残高
です。
国土交通省の管理計画認定制度でも、長期修繕計画が30年以上で、残存期間内に大規模修繕工事が2回以上含まれることや、修繕積立金の平均額が著しく低額でないことなどが基準とされています。:contentReference[oaicite:3]{index=3}
つまり、今の借入れだけを見るのではなく、その後30年程度の修繕計画まで見通すことが重要です。
「借入れがあるマンション」と「借入れがないマンション」どちらが安心?
一見すると、借入れがないマンションの方が安心に見えます。
しかし、必ずしもそうとは限りません。
例えば、
Aマンション
必要な大規模修繕を行うため一部借入れを利用。返済計画も明確。
Bマンション
借入れはないが、資金不足のため大規模修繕を先送り。
なら、単純にBの方が安全とは言えません。
必要な工事を延期すれば、建物劣化が進み、将来さらに大きな費用が必要になる可能性があります。国土交通省も、修繕資金不足により必要な工事を行えない場合、劣化が進行し、後の負担増につながるおそれを示しています。:contentReference[oaicite:4]{index=4}
こんな借入れなら比較的理解しやすい・慎重に確認したい
| 確認項目 | 比較的理解しやすいケース | 慎重に確認したいケース |
|---|---|---|
| 借入理由 | 必要な大規模修繕 | 慢性的な資金不足 |
| 返済計画 | 完済時期が明確 | 返済計画が不透明 |
| 修繕積立金 | 返済と将来積立を両立 | 返済だけで余裕がない |
| 追加借入れ | 現時点で予定なし | すでに検討中 |
| 一時金 | 予定なし | 徴収を検討中 |
| 次回工事 | 必要資金を確保できる | 次回も資金不足 |
| 長期修繕計画 | 定期的に見直されている | 古い・収支が合わない |
借入れの返済で修繕積立金が「使い切られていないか」
管理組合の借入れでは、毎月集める修繕積立金の一部を返済へ充てることがあります。
ここで確認したいのは、借入返済を優先するあまり、次の工事のためのお金を十分積み立てられていない状態になっていないかです。
例えば、
- 毎年5000万円集める
- 借入返済に3000万円使う
- 実際に積み増せるのは2000万円
という状態なら、その2000万円で次の修繕費を準備できるかを見る必要があります。
借入金利も確認する
借入れには元金だけでなく利息負担があります。
そのため、
- 借入残高
- 返済期間
- 金利条件
- 年間返済額
も確認できると、管理組合の負担を把握しやすくなります。
借入元本だけでなく、最終的にどの程度の返済負担になるかを見ることが重要です。
総会議事録で借入れの経緯を確認する
管理組合の借入れについて非常に役立つ資料が、総会議事録です。
議事録では、
- なぜ借入れが必要になったのか
- いくら借りたのか
- 返済期間
- 修繕積立金値上げ
- 一時金との比較
- 追加借入れの可能性
などが議論されていることがあります。
可能であれば、借入れを決めた年だけでなく、その前後数年の議事録を確認しましょう。
関連記事:
中古マンションの「総会議事録」はどこを見る?購入前に確認したい7つの危険サイン
長期修繕計画は「借入れ込み」で確認する
長期修繕計画を見るとき、工事費と修繕積立金だけを見てはいけません。
借入れがあるマンションでは、返済支出も含めて資金収支を見る必要があります。
特に、
- 借入返済期間中の残高
- 次回大規模修繕時点の残高
- 次の設備更新時点の残高
を確認しましょう。
関連記事:
中古マンションの「長期修繕計画」はどこを見る?購入前に確認したい7つのポイント
修繕積立金の滞納も一緒に確認する
管理組合が借入れを返済するためには、区分所有者から予定どおり管理費・修繕積立金が集まることも重要です。
そのため、借入れとあわせて滞納状況も確認しましょう。
国土交通省の管理計画認定制度でも、修繕積立金の滞納への適切な対応が認定基準の一つとされています。:contentReference[oaicite:5]{index=5}
特に、借入返済中なのに滞納額が増えている場合は、管理組合の資金繰りへの影響を確認したいところです。
関連記事:
中古マンションの「管理費滞納」が多いと危険?購入前に確認したいポイント
借入れがあると将来売れにくい?
管理組合の借入れがあるからといって、必ずマンションが売れにくくなるとは限りません。
ただし、購入希望者が管理資料を確認した際に、
- 多額の借入残高
- 大幅な修繕積立金値上げ
- 追加借入れ予定
- 一時金予定
が同時に分かれば、購入判断に影響する可能性があります。
逆に、必要な修繕を実施するための借入れで、返済計画も明確、資金状況も改善しているのであれば見方は変わります。
中古マンション購入前に確認したい資料
管理組合の借入れを判断するときは、可能な範囲で次の資料を確認しましょう。
- 長期修繕計画
- 総会議事録
- 管理組合の決算書
- 収支予算書
- 重要事項説明書
- 修繕積立金残高が分かる資料
国土交通省のマンション管理チェックでも、修繕積立金会計の収支状況について、現在の積立額と将来工事費に対する不足の有無を、予算案や決算報告書等で確認することが示されています。:contentReference[oaicite:6]{index=6}
契約直前に確認したい10項目
- 借入れの目的は何か
- 当初借入額はいくらか
- 現在残高はいくらか
- 年間返済額はいくらか
- 完済予定はいつか
- 修繕積立金の値上げ予定はあるか
- 追加借入れ予定はあるか
- 一時金徴収予定はあるか
- 次回大規模修繕の資金は足りるか
- 管理費・修繕積立金の滞納は多くないか
こんな場合は特に慎重に確認
管理組合の借入れに加えて、次の条件が複数重なっている場合は慎重に確認しましょう。
- 修繕積立金残高が少ない
- 大幅値上げ予定がある
- 一時金徴収を検討している
- 追加借入れが予定されている
- 次の大規模修繕が近い
- 滞納額が増えている
- 長期修繕計画が古い
「借入れあり」だけより、「借入れ+積立不足+追加負担」の組み合わせに注意しましょう。
逆に借入れがあっても前向きに検討できるケース
例えば、
- 借入目的が明確
- 必要な修繕工事を適切に実施済み
- 返済期間・返済額が明確
- 今後の修繕積立金も確保できる
- 追加借入れ・一時金予定がない
- 総会議事録で管理組合の対応が確認できる
のであれば、借入れがあるだけで購入候補から外す必要はありません。
管理組合の借入れについてよくある質問
管理組合に借入れがあるマンションは買わない方がいいですか?
借入れがあるだけで購入を見送る必要はありません。借入れの目的、残高、返済計画、今後の修繕費、一時金や追加借入れの可能性を確認して判断しましょう。
管理組合の借入れは誰が返すのですか?
管理組合が借入主体となり、管理組合の資金から返済します。その原資は区分所有者から集める修繕積立金等になるため、購入後の所有者にも間接的に関係する負担です。
借入れがあると修繕積立金は上がりますか?
必ず上がるわけではありませんが、返済と将来の修繕資金を両立するために増額が必要になる場合があります。長期修繕計画と総会議事録で確認しましょう。
借入れがないマンションの方が安全ですか?
必ずしもそうではありません。借入れがなくても、資金不足で必要な修繕工事を延期しているケースには注意が必要です。借入れの有無より、必要な修繕を実施できる資金計画かを見ることが重要です。
まとめ|管理組合の借入れは「借金があるか」より「返済後も修繕できるか」
中古マンションで管理組合の借入れがあるからといって、それだけで危険なマンションとは判断できません。
必要な大規模修繕を適切な時期に行うため、一時的に借入れを利用しているケースもあります。
契約前に確認したいのは、
- 何のために借りたのか
- 借入残高はいくらか
- いつまで返済するのか
- 返済原資は何か
- 修繕積立金の値上げ予定はないか
- 追加借入れ・一時金はないか
- 長期修繕計画全体で資金が足りるか
です。
特に注意したいのは、借入れを返済しているにもかかわらず、次の大規模修繕資金が不足し、さらに値上げ・一時金・追加借入れが必要になるケースです。
「管理組合に借金があるから危険?」ではなく、「この借入れを返したあとも、必要な修繕を続けられる財務状態?」と考える。
この視点で長期修繕計画、決算書、総会議事録、修繕積立金残高を確認することが、中古マンション購入後の後悔を減らすための重要なポイントです。
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