住宅ローン9000万円で「退職金を使って完済」は危険?40代・50代が確認したい5つのこと

この記事でわかること
  • 結論|退職金で完済できるかより「完済後にいくら残るか」が重要
  • 住宅ローン9000万円の月々返済額はいくら?
  • 確認① 40代・50代で借りると何歳で完済する?
公開日 更新日 著者 ソプナビ編集部

※本記事は一般的な判断材料の整理を目的としたものであり、特定の物件の価値・安全性・将来性を断定するものではありません。最終的な判断は不動産会社・管理会社・各種資料の確認に基づいて行ってください。

住宅ローン9000万円で「退職金を使って完済」は危険?40代・50代が確認したい5つのこと

「40代で9000万円の住宅ローンを組むと、定年までには返し終わらない。」

「でも、退職金が入ったら残りをまとめて返せばいいのでは?」

「50代でマンションを買っても、退職金で住宅ローンを完済できれば問題ない?」

40代・50代で高額なマンションを購入するとき、このような返済計画を考えることがあります。

退職金を住宅ローンの繰上返済に使うこと自体が、必ずしも問題というわけではありません。

しかし、9000万円という大きな住宅ローンでは、「退職金で住宅ローンを完済できるか」だけでなく、「完済したあとに老後資金がいくら残るか」まで考える必要があります。

退職後も生活は続きます。

  • 毎月の生活費
  • 医療・介護への備え
  • マンションの管理費
  • 修繕積立金
  • 固定資産税等
  • 住宅設備の交換
  • 車や家電の買い替え

などの支出がなくなるわけではありません。

「退職金で住宅ローンをゼロにできる」ことと、「退職後の家計が安心できる」ことは別です。

この記事では、住宅ローン9000万円を40代・50代で検討している方に向けて、完済年齢、定年時のローン残高、退職金、老後資金、教育費、マンション維持費まで含めて、購入前に確認したい5つのポイントを解説します。

結論|退職金で完済できるかより「完済後にいくら残るか」が重要

住宅ローン9000万円を退職金で完済する計画が、すべて危険というわけではありません。

例えば定年時点で十分な金融資産があり、退職金の一部を住宅ローン返済に使っても老後生活に必要な資金を確保できるのであれば、一つの選択肢になり得ます。

反対に注意したいのは、

  • 退職金のほぼ全額を住宅ローン返済に使う
  • 老後資金を退職金だけに頼っている
  • 定年時のローン残高を把握していない
  • 教育費がまだ残っている
  • マンション維持費の将来額を確認していない

というケースです。

40代・50代で9000万円を借りるなら、最低でも次の5点を確認しましょう。

  1. 何歳で住宅ローンが完済するのか
  2. 定年時に住宅ローンがいくら残るのか
  3. 退職金を使ったあとに老後資金がいくら残るのか
  4. 教育費と住宅ローン返済が重ならないか
  5. ローン完済後も続くマンション維持費を払えるか

住宅ローン9000万円の月々返済額はいくら?

まず、9000万円を35年、元利均等返済、ボーナス返済なしで借りた場合の概算を確認します。

金利 毎月返済額 年間返済額
0.5% 約23.4万円 約280万円
1.0% 約25.4万円 約305万円
1.5% 約27.6万円 約331万円
2.0% 約29.8万円 約358万円
3.0% 約34.6万円 約416万円

※9000万円・35年・元利均等返済・ボーナス返済なしの概算です。実際の返済額は金融機関、金利、返済方式、借入条件などによって異なります。

金利1.0%でも月々約25万4,000円です。

マンションなら、さらに管理費・修繕積立金・固定資産税等・駐車場などが加わります。

つまり、定年までに住宅ローンを返しながら、退職後のための資産形成も同時に進める必要があります。

確認① 40代・50代で借りると何歳で完済する?

最初に確認したいのが完済年齢です。

35年ローンを単純に年齢へ足すと次のようになります。

借入時年齢 35年後の年齢
35歳 70歳
40歳 75歳
45歳 80歳
50歳 85歳

40歳で35年ローンなら75歳、45歳なら80歳です。

もちろん、実際には金融機関の完済時年齢などの融資条件がありますので、誰でもこの期間で借りられるという意味ではありません。

重要なのは、40代以降で長期ローンを組む場合、定年までに自然に完済する計画にはなりにくいということです。

そのため、

  • 繰上返済
  • 退職金
  • 定年前までの金融資産形成
  • 退職後も返済を続ける

などを組み合わせて考える必要があります。

確認② 定年時に住宅ローンはいくら残る?

「退職金で完済する」と考えるなら、最も重要なのが定年時の住宅ローン残高です。

例えば9000万円を金利1.0%・35年・元利均等返済で借り、途中の繰上返済がないものとして概算すると、返済開始から一定期間が経過しても残高は大きく残ります。

返済経過 ローン残高の概算
5年後 約7,900万円
10年後 約6,700万円
15年後 約5,500万円
20年後 約4,200万円
25年後 約2,900万円

※9000万円・金利1.0%・35年・元利均等返済を前提とした概算です。実際の残高は適用金利、返済方式、繰上返済などによって異なります。

例えば40歳で借りて65歳で退職すると仮定すれば、返済開始から25年です。

この単純モデルでは、65歳時点でも約2,900万円が残る計算になります。

45歳で借りて65歳なら20年経過なので、残高は約4,200万円です。

「退職金で返す」と考える前に、まず自分の定年時点で住宅ローンが何千万円残る予定なのかを数字で確認しましょう。

40歳・45歳で9000万円を借りた場合のイメージ

65歳を一つの確認時点として単純比較してみます。

借入時年齢 65歳までの返済期間 65歳時の残高概算
40歳 25年 約2,900万円
45歳 20年 約4,200万円
50歳 15年 約5,500万円

※金利1.0%・35年・元利均等返済・繰上返済なしの概算です。実際に35年ローンを利用できるかどうかは金融機関の条件によります。

50歳で借りたケースでは、65歳時点でまだ借入当初額の半分を超える残高がある計算です。

この金額を「退職金で全部返せばよい」と考えているなら、その退職金額と老後資産を具体的に確認する必要があります。

確認③ 退職金を使ったあと老後資金はいくら残る?

住宅ローンを退職金で返す計画で最も見落としたくないポイントです。

例えば65歳時点で、次のような状況だったとします。

  • 住宅ローン残高:2,500万円
  • 退職金:2,500万円

数字だけを見れば、退職金で住宅ローンを完済できます。

しかし、退職金を全額使えば、退職金から老後生活へ回せる資金は0円です。

もちろん別に十分な金融資産があれば状況は異なります。

そこで確認したいのは、次の計算です。

退職時の金融資産 + 退職金 - 住宅ローン返済額 = 住宅ローン完済後に残る金融資産

退職金2500万円でも家計はまったく違う

ケース 退職前金融資産 退職金 ローン返済 完済後資産
A 4,000万円 2,500万円 2,500万円 4,000万円
B 2,000万円 2,500万円 2,500万円 2,000万円
C 500万円 2,500万円 2,500万円 500万円

同じ「退職金2500万円で住宅ローンを完済」という計画でも、完済後に4,000万円残る家庭と500万円しか残らない家庭では意味がまったく異なります。

退職金の金額ではなく、「住宅ローンを返したあとに残る資産」を見ましょう。

退職金を老後資金として二重計上していないか

家計シミュレーションでは、同じお金を二つの目的に使う計画になっていないか注意が必要です。

例えば、

  • 「退職金2000万円があるから老後も大丈夫」
  • 「定年時の住宅ローン2000万円は退職金で返す」

という二つを同時に考えている場合です。

同じ退職金2000万円を住宅ローン完済に使えば、その2000万円をそのまま老後生活費として使うことはできません。

購入前の資金計画では、

  • 住宅ローン完済資金
  • 老後生活資金
  • 生活防衛資金

を分けて考えることが重要です。

確認④ 40代は教育費と住宅ローンが重なりやすい

40代で9000万円の住宅ローンを組む世帯では、子どもの教育費にも注意が必要です。

住宅購入時に子どもが小学生前後なら、その後、

  • 塾・習い事
  • 高校受験
  • 大学受験
  • 大学進学
  • 一人暮らし
  • 仕送り

などの支出が増える可能性があります。

そして教育費が落ち着く頃には、今度は定年・老後が近づいてきます。

40代で重要なのは「住宅・教育・老後」の3つを同時に見ること

例えば40歳で住宅を購入した場合、今後25年間に、

  • 住宅ローン返済
  • 教育費のピーク
  • 老後資金形成

が重なる可能性があります。

住宅ローンだけを見れば毎月返済できても、教育費を払うことで老後資金の積立てが止まってしまうことがあります。

40代の9000万円ローンでは、「毎月返せるか」だけでなく、「返しながら老後資金を増やせるか」が重要です。

50代では退職までの資産形成期間が短い

50代で9000万円クラスの住宅購入を検討する場合は、さらに慎重な確認が必要です。

理由は、定年までの時間が短いからです。

例えば50歳から65歳までは15年間です。

その間に、

  • 住宅ローンを返す
  • 老後資金を積み立てる
  • 必要なら教育費を払う
  • 定年時のローン残高へ備える

必要があります。

高収入であっても、資産形成できる期間が短ければ「退職金で何とかする」という計画への依存度が高くなる可能性があります。

確認⑤ ローンを完済してもマンション維持費はなくならない

退職金で住宅ローンを完済すれば、毎月のローン返済はなくなります。

しかしマンション所有に必要な支出がすべてゼロになるわけではありません。

  • 管理費
  • 修繕積立金
  • 固定資産税等
  • 駐車場代
  • 火災・地震保険
  • 専有部分の設備交換

などは退職後も続きます。

管理費+修繕積立金が月8万円なら老後も年間96万円

例えば将来、管理費+修繕積立金が月8万円になったとします。

年間では96万円です。

住宅ローンを完済していても、この支出は続きます。

期間 月8万円の場合
1年 96万円
10年 960万円
20年 1,920万円

※値上げや物価変動を考慮しない単純計算です。

老後の住居費を考えるときは「住宅ローン完済=住居費ゼロ」と考えないことが重要です。

関連記事:
管理費+修繕積立金が月8万円なら高い?中古マンション購入後の年間負担を検証

退職金で住宅ローンを完済しても比較的安心しやすいケース

  • 退職金とは別に十分な金融資産がある
  • 定年時の住宅ローン残高を把握している
  • 退職金の一部だけで完済できる
  • 教育費がすでに終了している
  • 老後資金を現役時代から積み立てている
  • 公的年金等を含めた退職後の収支を確認している
  • 管理費・修繕積立金の将来額を確認している
  • 生活防衛資金を残せる
  • 退職金が想定より少ない場合にも対応できる

退職金での完済を慎重に考えたいケース

  • 退職金のほぼ全額を住宅ローン返済に使う予定
  • 退職金以外の金融資産が少ない
  • 老後資金も退職金で準備する予定
  • 定年時のローン残高を計算していない
  • 子どもの大学費用が定年前後まで続く
  • 共働き収入がずっと続く前提
  • 定年まで繰上返済できる見込みがない
  • 管理費・修繕積立金が高い
  • 修繕積立金の値上げ予定がある
  • 「退職金は今と同じ制度・金額でもらえる」とだけ考えている

9000万円から8000万円へ下げると定年前の資産形成はどう変わる?

40代・50代で9000万円を借りるか迷っているなら、住宅予算を1000万円下げたケースも比較しましょう。

金利1.0%・35年返済の概算では次のようになります。

借入額 毎月返済額
8000万円 約22.6万円
9000万円 約25.4万円

差は月約2万8,000円です。

年間では約34万円、10年間なら単純計算で約340万円です。

この差額を定年まで貯蓄・資産形成へ回せれば、退職金だけに住宅ローン完済を依存する必要性を下げられる可能性があります。

40代・50代では「9000万円を払えるか」だけでなく、「8000万円なら定年までにどれだけ多く資産を残せるか」という比較が重要です。

退職金を全額使う前に「一部返済」も比較する

定年時に住宅ローンが残っているからといって、必ずしも退職金を全額投入して一括完済する方法だけを考える必要はありません。

例えば、

  • 全額完済する
  • 一部だけ繰上返済する
  • 一定額の現預金を残して返済を続ける

など、複数のケースを比較することが大切です。

どの方法が適切かは、その時点の住宅ローン金利、残高、退職後の収入、金融資産、家族構成などによって異なります。

「借金は早くゼロにした方が安心」という感覚だけで、老後の手元資金まで大きく減らさないようにしましょう。

40代・50代の9000万円ローン購入前ストレステスト

購入前に、次の条件でも家計が成立するか確認してみましょう。

  1. 退職金が想定より少なくても対応できる
  2. 65歳時点のローン残高を把握している
  3. 退職金を使ったあとも老後資金を残せる
  4. 教育費が増えても老後積立を続けられる
  5. 金利2%でも返済できる
  6. 世帯年収が20%下がっても対応できる
  7. 修繕積立金が月2万円上がっても払える
  8. 8000万円へ予算を下げたケースとも比較した

住宅ローン9000万円と退職金についてよくある質問

住宅ローンを退職金で完済するのは危険ですか?

退職金で完済すること自体が危険なのではありません。重要なのは、住宅ローンを返したあとに老後生活に必要な金融資産を十分残せるかです。

40歳で35年ローンを組むと何歳で完済しますか?

単純計算では75歳です。45歳なら80歳になります。ただし実際に利用できる返済期間や完済時年齢の条件は金融機関によって異なります。

40歳で9000万円を借りると65歳でいくら残りますか?

9000万円・金利1.0%・35年・元利均等返済・繰上返済なしという単純モデルでは、25年後の残高は約2,900万円が目安です。実際の残高は金利や返済条件によって異なります。

45歳で9000万円を借りると65歳でいくら残りますか?

同じく金利1.0%・35年・元利均等返済・繰上返済なしという前提では、20年後の残高は約4,200万円が目安です。

退職金は住宅ローンと老後資金のどちらに使うべきですか?

一律には決められません。住宅ローン残高・金利・退職後の収入・公的年金等・金融資産・生活費などを踏まえ、全額完済、一部繰上返済、返済継続など複数のケースを比較することが重要です。

住宅ローンを完済すれば老後の住居費はなくなりますか?

マンションの場合はなくなりません。住宅ローン完済後も管理費・修繕積立金・固定資産税等・保険・専有部分の設備交換などの費用が続きます。

住宅ローン9000万円の関連記事

まとめ|退職金で「完済できる」より完済後の老後資金を見る

住宅ローン9000万円を40代・50代で借りる場合、35年返済では定年後までローンが続く可能性があります。

そこで「退職金で残債を一括返済すればいい」と考えることがあります。

しかし、購入前に確認したいのは次の5つです。

  1. 何歳で住宅ローンが完済するのか
  2. 定年時に住宅ローンがいくら残るのか
  3. 退職金を使ったあとに老後資金がいくら残るのか
  4. 教育費と住宅ローン返済が重ならないか
  5. ローン完済後も続くマンション維持費を払えるか

特に注意したいのは、退職金を住宅ローン完済資金と老後資金の両方として考えてしまうことです。

退職金を住宅ローン返済に使えば、その分だけ老後に使える現預金は減ります。

また、住宅ローンを完済しても、マンションでは管理費・修繕積立金・固定資産税等などが続きます。

40代・50代の9000万円ローンでは、「退職金で完済できるか」ではなく、「完済したあとも安心して暮らせるだけの資産を残せるか」で判断しましょう。

9000万円と8000万円で迷っているなら、住宅予算を1000万円下げた場合に、定年までどれだけ多く資産形成できるかも比較する価値があります。


「退職金で返せば大丈夫」と言われたけれど不安なら

SOPNAVIでは、マンション購入前の判断に役立つ無料AI診断、契約前チェックリスト、有料契約チェックをご用意しています。

  • 無料AI診断:住宅ローン・管理費・修繕積立金などを簡単チェック
  • 契約前チェックリスト:購入前に確認したい項目を整理
  • 有料契約チェック:重要事項説明書・長期修繕計画・総会議事録などを第三者の視点で確認

「毎月の返済はできそう。でも定年時にローンが残る」「退職金を使えば完済できそうだが、老後資金が心配」という段階でこそ、購入前に住宅ローンとマンション維持費を長期で確認しておきましょう。

無料でマンション診断をする

この物件、本当に大丈夫ですか?

住宅ローン・修繕積立金・管理状態・将来の資産価値など、
マンション購入前に確認しておきたいポイントを整理できます。

無料で物件診断する

※完全無料・無理な営業はありません


「将来も安心して住めるか」を確認するために、
売却相場もチェックしておきませんか?

マンションは購入価格だけでなく、 将来いくらで売れるかも重要な判断材料です。
お住まいの地域に対応する無料査定サービスをお選びください。

おすすめ

東海・関東の一部

不動産SHOPナカジツ

地域密着型の不動産会社へ、
マンションの売却査定を無料で依頼できます。

ナカジツで無料査定する

※最新の対応地域は査定ページでご確認ください

全国対応

対応エリア外の方はこちら

北海道・東北・関西・中国・四国・九州など

ミライアス

全国対応の無料査定サービスです。
地域を問わず売却相場を確認できます。

全国対応の無料査定はこちら

※全国対応の査定ページへ移動します

※本欄には広告・プロモーションを含みます。査定の利用は無料です。

マンションの現在価値を確認したい方へ

売却予定がなくても、現在の査定価格を知っておくことで、 将来の住み替えや資金計画の参考になります。

ノムコム マンション無料査定