住宅ローン9000万円で「貯金できない」は危険?高収入世帯でも家計が苦しくなる5つの理由

この記事でわかること
  • 結論|「貯金できない」が長く続くなら住宅費が大きすぎる可能性がある
  • 住宅ローン9000万円の毎月返済額を確認
  • 住宅ローン25万円でも総住宅費は35万円を超えることがある
公開日 更新日 著者 ソプナビ編集部

※本記事は一般的な判断材料の整理を目的としたものであり、特定の物件の価値・安全性・将来性を断定するものではありません。最終的な判断は不動産会社・管理会社・各種資料の確認に基づいて行ってください。

住宅ローン9000万円で「貯金できない」は危険?高収入世帯でも家計が苦しくなる5つの理由

「世帯年収は高いのに、9000万円の住宅ローンを組んだら毎月ほとんど貯金できなくなった。」

「住宅ローンは払えている。でも教育費や旅行、老後資金まで考えると余裕がない。」

「高収入世帯なら9000万円の住宅ローンでも大丈夫だと思っていたのに、なぜ家計が苦しい?」

住宅ローン9000万円を検討する家庭は、一定以上の世帯収入があるケースが多いでしょう。

そのため購入前には、「毎月の返済額は大きいけれど、世帯年収を考えれば払える」と判断しやすくなります。

しかし、住宅ローンを払えていることと、家計に余裕があることは同じではありません。

特に注意したいのが、購入後に毎月の貯金がほとんどできなくなる状態です。

住宅ローン9000万円で重要なのは、「返済できるか」だけではなく、「返済しながら将来のためのお金を残せるか」です。

この記事では、住宅ローン9000万円を組んだあと、高収入世帯でも貯金できなくなりやすい5つの理由と、購入前に確認したいポイントを詳しく解説します。

関連記事:
住宅ローン9000万円で後悔する人の特徴7選|高収入でも購入前に確認したいこと

結論|「貯金できない」が長く続くなら住宅費が大きすぎる可能性がある

住宅購入直後に家具・家電の購入などで一時的に貯金が減ることはあります。

しかし、住宅ローン返済後に毎月ほとんどお金が残らない状態が長期間続くなら注意が必要です。

住宅購入後にも、

  • 子どもの教育費
  • 車の買い替え
  • 家具・家電の交換
  • 病気や休職への備え
  • 老後資金
  • 将来の住み替え

など、まとまった資金が必要になります。

「住宅ローンを遅れず払える家計」ではなく、「住宅ローンを払いながら貯蓄も続けられる家計」を目指すことが重要です。

住宅ローン9000万円の毎月返済額を確認

まず、9000万円を35年・元利均等返済・ボーナス返済なしで借りた場合の毎月返済額を確認します。

金利 毎月返済額の目安 年間返済額の目安
0.5% 約23.4万円 約280万円
1.0% 約25.4万円 約305万円
1.5% 約27.6万円 約331万円
2.0% 約29.8万円 約358万円
3.0% 約34.6万円 約416万円

※9000万円・35年・元利均等返済・ボーナス返済なしの概算です。実際の返済額は金融機関、金利タイプ、借入条件などによって異なります。

金利1%でも月約25万円です。

ただしマンションの場合、これだけでは実際の住宅費は分かりません。

住宅ローン25万円でも総住宅費は35万円を超えることがある

例えば次のようなケースを考えます。

項目 月額
住宅ローン 25.4万円
管理費 3万円
修繕積立金 4万円
駐車場 2万円
合計 34.4万円

住宅関連費だけで月約34万円です。

年間では約413万円になります。

さらに固定資産税等や保険もあります。

住宅ローン9000万円では、「ローン25万円」ではなく「住宅全体で月35万円前後」という視点が重要です。

9000万円ローンで貯金できなくなる5つの理由

  1. 高収入だから住宅予算も上げすぎた
  2. 住宅ローン以外の維持費が大きい
  3. 教育費が増えると余剰資金が消える
  4. 共働き収入が続く前提で家計を組んだ
  5. 住宅費を優先して老後資金が後回しになる

理由① 高収入だから住宅予算も上げすぎた

高収入世帯では、金融機関から大きな住宅ローンを借りられる場合があります。

すると物件探しの途中で、

  • 7000万円
  • 8000万円
  • 9000万円
  • 1億円

と予算が徐々に上がることがあります。

「せっかく買うなら駅近にしたい」

「あと1000万円出せば広くなる」

「審査が通るなら9000万円でも大丈夫だろう」

と考えやすくなります。

しかし、借入可能額と家計に余裕を残せる金額は別です。

「借りられる上限」を住宅予算にしない

住宅ローン審査では、現在の年収や他の借入れなどをもとに判断されます。

一方、家庭では、

  • 教育費にいくら使いたいか
  • 旅行をどの程度したいか
  • 毎年いくら貯蓄したいか
  • 老後までにいくら準備したいか

まで考える必要があります。

「9000万円を借りられる」ことではなく、「9000万円を借りても希望する生活を続けられるか」で考えましょう。

理由② 住宅ローン以外の維持費が大きい

マンション購入後に「思ったより貯金できない」原因の一つが、住宅ローン以外の固定費です。

  • 管理費
  • 修繕積立金
  • 駐車場
  • 固定資産税等
  • 火災・地震保険

などがあります。

物件価格が高いマンションでは、管理費・修繕積立金も大きくなるケースがあります。

管理費+修繕積立金が月8万円なら年間96万円

例えば管理費+修繕積立金が月8万円なら、年間96万円です。

月10万円なら年間120万円になります。

住宅ローンとは別に、毎年100万円前後の固定費を負担する可能性があるわけです。

購入前にローン返済額ばかりを見ていると、この差が貯蓄余力を大きく削ります。

関連記事:
管理費+修繕積立金が月10万円なら高すぎる?中古マンション購入後の年間負担を検証

修繕積立金は将来さらに上がる可能性がある

購入時の維持費だけでなく、将来額も確認する必要があります。

例えば修繕積立金が、

  • 現在:月3万円
  • 5年後:月4万円
  • 10年後:月6万円

となれば、現在より月3万円、年間36万円の負担増です。

関連記事:
中古マンション購入で「修繕積立金の値上げ予定」がある物件は買って大丈夫?契約前の確認ポイント

理由③ 教育費が増えると余剰資金が消える

住宅購入時に子どもが小さい家庭では、現在の家計に余裕があるように見えることがあります。

しかし10年後・15年後には、教育費が大きく増える可能性があります。

  • 習い事
  • 受験
  • 私立中学・高校
  • 大学
  • 自宅外通学

などです。

住宅ローン9000万円の返済は、その時期も続きます。

子ども2人なら教育費ピークが重なる可能性もある

子どもの年齢差によっては、大学進学時期などが重なることがあります。

その時期に、

  • 住宅ローン月25万円超
  • 管理費・修繕積立金月7万円
  • 教育費増加

が重なると、高収入世帯でも毎月の貯蓄が難しくなる可能性があります。

関連記事:
住宅ローン9000万円で「教育費が重い」は危険?高収入世帯が購入前に考えたいこと

「教育費はその時の収入で払う」は注意

購入時には、「将来は年収も上がっているだろう」と考えることがあります。

しかし将来の昇給は確定していません。

教育費を現在から少しずつ準備できない家計なら、住宅費が大きすぎないか確認する価値があります。

理由④ 共働き収入が続く前提で家計を組んだ

9000万円の住宅ローンでは、夫婦二人の収入を前提に購入するケースがあります。

例えば、

  • 夫:年収900万円
  • 妻:年収700万円
  • 世帯年収:1600万円

なら、現在の収入では高額な住宅ローンを払えるように見えます。

しかし返済期間中には、

  • 育児休業
  • 時短勤務
  • 転職
  • 休職
  • 介護
  • 働き方の変更

などで収入が変化する可能性があります。

片方の収入が減ったら「貯金ゼロ」にならないか

例えば世帯手取りが月100万円で住宅関連費35万円なら、住宅費支払い後は65万円です。

ところが一方の収入減少で世帯手取りが80万円になれば、残るのは45万円です。

世帯手取り 住宅費35万円 住宅費支払い後
100万円 35万円 65万円
90万円 35万円 55万円
80万円 35万円 45万円
70万円 35万円 35万円

ここから生活費や教育費を支払います。

少しの収入減で毎月の貯金がゼロになるなら、現在の住宅費が共働き収入に依存しすぎている可能性があります。

理由⑤ 住宅費を優先して老後資金が後回しになる

高額な住宅ローンと教育費が重なると、「老後資金は子どもが独立してから」と考えやすくなります。

しかし住宅購入年齢によっては、教育費が終わる頃には50代後半となっている場合があります。

そこから老後資金をまとめて準備しようとしても、住宅ローン返済がまだ続いている可能性があります。

住宅ローン完済後も管理費・修繕積立金は残る

マンションの場合、住宅ローンを完済すれば住居費がゼロになるわけではありません。

  • 管理費
  • 修繕積立金
  • 固定資産税等

は基本的に続きます。

しかも修繕積立金は、購入時より高くなっている可能性があります。

「今月貯金できるか」だけでなく、「老後資金の積立を止めずに住宅ローンを返せるか」を確認しましょう。

高収入なのに貯金できない家計の例

具体的なイメージとして、仮のケースを考えてみましょう。

世帯手取り月100万円、子ども2人、9000万円ローンの家庭とします。

項目 月額
住宅ローン 25万円
管理費・修繕積立金 7万円
駐車場 2万円
生活費 30万円
教育関連費 15万円
保険・通信・その他 10万円
支出合計 89万円
残額 11万円

一見すると月11万円残ります。

しかしここから、

  • 固定資産税等
  • 旅行
  • 家電買い替え
  • 車検・車買い替え
  • 冠婚葬祭
  • 老後資金

を負担すると、年間では思ったほど貯金が増えない可能性があります。

※上表は家計負担をイメージするための仮定例です。実際の支出は家庭によって異なります。

「毎月10万円貯金できる」でも安心とは限らない

高収入世帯では、月10万円残れば十分と感じるかもしれません。

しかし、9000万円クラスの住宅ローンを抱える家庭では、将来必要になる金額も大きくなる可能性があります。

例えば月10万円を年間貯蓄しても120万円です。

その中から教育費や車、住宅設備の交換を払うなら、老後資金としてどれだけ残るかは別に考える必要があります。

「ボーナスで貯金すればいい」は危険?

毎月の収支に余裕が少なくても、「ボーナスはほぼ全部貯金できるから大丈夫」と考えることがあります。

しかしボーナスは、勤務先の業績や転職などによって変化する可能性があります。

また実際には、

  • 固定資産税等
  • 旅行
  • 家電
  • 教育費

などをボーナスから支払うこともあります。

毎月の給与だけでも一定額を貯蓄できる家計か確認しましょう。

9000万円から8000万円へ下げるとどれくらい貯蓄余力が変わる?

住宅予算に迷っているなら、9000万円だけでなく8000万円の借入れも比較してみましょう。

35年・金利1.0%で単純比較すると、借入額1000万円の差で毎月返済額は約2万8000円変わります。

年間では約34万円です。

10年間では単純計算で約340万円になります。

この差額を毎年貯蓄・教育費・老後資金に回せると考えると、住宅予算1000万円の違いは大きいと言えます。

「9000万円の物件を買えるか」だけでなく、「8000万円なら年間30万円以上多く残せる」という比較もしてみましょう。

頭金を増やせば安全?

借入額を減らすために頭金を多く入れる方法もあります。

ただし、頭金を入れすぎて手元資金が少なくなることにも注意が必要です。

住宅購入直後には、

  • 引っ越し費用
  • 家具・家電
  • 税金等
  • 予期せぬ支出

もあります。

頭金を入れた後でも生活防衛資金を十分残せるか確認しましょう。

「貯金できない」の危険度を判断する5つの質問

  1. 購入後も毎月一定額を貯金できるか
  2. 教育費を別に準備できるか
  3. 生活防衛資金を残せるか
  4. 老後資金の積立を続けられるか
  5. 一方の収入が減っても赤字にならないか

複数に「いいえ」となる場合は、9000万円という住宅予算が家計に対して大きすぎないか確認してみましょう。

住宅ローン9000万円・購入前チェックリスト

  1. 金利別の返済額を確認したか
  2. 管理費・修繕積立金を含めたか
  3. 固定資産税等を年間支出に加えたか
  4. 修繕積立金の将来値上げを確認したか
  5. 購入後も毎月貯金できるか
  6. 教育費を別枠で準備できるか
  7. 生活防衛資金を残せるか
  8. どちらかの収入が減ったケースを試算したか
  9. ボーナスなしでも家計が成立するか
  10. 老後資金の積立を継続できるか
  11. 8000万円へ予算を下げたケースと比較したか
  12. 将来売却時の住宅ローン残高も考えたか

9000万円ローンでも比較的余裕を持ちやすい人

  • 住宅費支払い後も十分な手取りが残る
  • 購入後も毎月継続して貯蓄できる
  • 教育資金をすでに準備している
  • 十分な金融資産を持っている
  • 共働き収入が減っても一定期間対応できる
  • 修繕積立金の将来額を把握している
  • 老後資金を住宅ローンと並行して準備できる

逆に慎重に確認したい9000万円ローン

  • 購入後ほとんど貯金できない
  • ボーナスがないと年間収支が成り立たない
  • 子どもの教育費はこれから増える
  • 修繕積立金の大幅値上げ予定がある
  • 共働きのどちらかが収入減になると赤字になる
  • 老後資金を全く積み立てられない
  • 頭金を入れた結果、手元資金がほとんど残らない

複数当てはまる場合は、購入価格や借入額を一度見直す価値があります。

住宅ローン9000万円と貯金についてよくある質問

住宅ローン9000万円を返せていれば、貯金できなくても大丈夫ですか?

一時的ならすぐ問題になるとは限りません。ただし長期間ほとんど貯蓄できない状態では、教育費、収入減少、老後資金などへの備えが難しくなる可能性があります。

高収入なら9000万円ローンでも貯金できますか?

年収だけでは判断できません。管理費・修繕積立金、教育費、家族構成、現在の金融資産、生活水準などによって貯蓄余力は変わります。

毎月いくら貯金できれば安心ですか?

一律の金額では判断できません。教育費や老後資金など将来必要な金額から逆算し、住宅購入後も必要な積立額を継続できるか確認することが重要です。

ボーナスで年間貯金できれば問題ありませんか?

ボーナスも貯蓄に使えますが、変動する可能性があります。毎月の通常収入でも一定額を貯蓄できる家計の方が、収入変化への耐久力を持ちやすくなります。

9000万円から8000万円へ予算を下げる意味はありますか?

あります。返済条件によりますが、1000万円の借入差で毎月数万円の余裕が生まれる可能性があります。その差を教育費や老後資金などに回すことができます。

関連記事|9000万円住宅ローンの家計を確認

まとめ|9000万円を返せても「貯金できない」なら家計全体を見る

住宅ローン9000万円を組んだあと、高収入世帯でも貯金できなくなりやすい主な理由は次の5つです。

  1. 高収入だから住宅予算も上げすぎた
  2. 住宅ローン以外の維持費が大きい
  3. 教育費が増えると余剰資金が消える
  4. 共働き収入が続く前提で家計を組んだ
  5. 住宅費を優先して老後資金が後回しになる

9000万円の住宅ローンそのものが危険なのではありません。

重要なのは、住宅ローン、管理費、修繕積立金などを払ったあとでも、必要な貯蓄を続けられるかです。

特に高収入世帯では、「返済できる」という安心感から住宅予算を上げやすい一方、教育費や生活水準も高くなりやすいため、想像以上にお金が残らないことがあります。

「9000万円を返せる家計」ではなく、「9000万円を返しても毎年資産を増やせる家計」を目指す。

購入前には現在の年収だけでなく、10年後の教育費、修繕積立金の値上げ、収入減少、老後資金まで含めて長期家計を確認しておきましょう。


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「銀行の審査は通りそう。でも9000万円を買ったあと、教育費・貯蓄・老後資金まで本当に両立できるのか不安」という段階でこそ、契約前に総住宅費と長期家計を整理しておきましょう。

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